仕事柄たくさんの工務店さんのホームページを見ますが、「建築実例」(もしくはそれに類するタイトル)のページがその工務店さんの生命線であることは間違いありません。
ちゃんと見ようと思っている人は、この「実例」ページの写真を見た時の一瞬の印象で、「この会社は自分に合ってるかも」とか「あんまり好きじゃないな」とかをあるていど見極めています。
もちろん、家の性能(スペック)などの能書き的な部分も大事なのですが、パッと見の「好き」「嫌い」という判断が写真によってなされていることは、誰もが、多かれ少なかれ感じていると思います。
ところが、その工務店さんが使っている写真が、「もったいないな」と思うことがよくあります。
もちろん、その会社さんによって写真撮影の事情は様々。1回あたり数万円かかると思われるプロカメラマンの写真を使っているところもあれば、社員が完成時に撮ってきていたり、社長自らカメラを構えているところもあります。
状況はそれぞれですが、いったん撮影した人の撮影技術を棚に上げて考えても、撮ってきた写真をそのままホームページにアップするというのは、本当にもったいないと思います。
デジタル写真のPCソフトによる加工は、慣れてしまえば意外と簡単ですが、それをやるかやらないかはかなり大きな差となって現われます。それなのに、多くの工務店さんが、その過程をきちんと経ていないと思われる写真をホームページに載せています。
実際、少しだけピントがずれていたり、ホワイトバランスの設定を間違えて変な色合いになってしまっていたり、水平・垂直がずれていたり・・・・等々の問題がある写真でも、ソフト上で加工してしまえば意外と使える写真になったりします。
また、写真から使える部分を切り取る「トリミング」はその写真の印象を決める本当に重要な作業です。(前職の頃、常人には計り知れないレベルの建築写真へのこだわりを持っていた社長の満足がいくまで、恐ろしい回数のトリミングを深夜まで繰り返していたことが思い出されます(笑))
多くの工務店さんがホームページやチラシを外注の制作会社さんに任せていると思いますが、私の経験上、それらの「デザインのプロ」が建築写真の扱いに慣れていることは、あまりありません。
いい仕事をしてくれるデザイナーさんでも、建築写真をどうトリミングするかとか、どう色調を補正するかとかまでを必死に考えてくれることは少ないと思います。
なぜなら厳密に言うとそういった画像補正はデザイナーさんの仕事ではありません。例えば冊子を作る場合だと、編集者さんの仕事になるのが一般的です。
でも多くのケースで、編集者さんはいないと思うので、そこはある程度、工務店さんの内部で「編集者」的な動きができる人を育成した方がいいと思います。(もしくは、私のような者に任せていただくか^^;)
最初に書いた通り、写真はパッと見た人の印象を左右するので、それを出来る限り良いものにすることは本当に大切です。多くの工務店さんはもっとそのことを意識すべきだと思います。
・・・・とそんな思いもあって、私のやっている写真の画像補正のやり方を紹介することにしました。
ここまで書くだけでかなりの字数になってしまいましたので、建築写真を素人でも簡単により良いものに仕上げる具体的な方法については、次回以降に書かせていただきます!