それでは、これから私がやっている建築写真の画像補正のやり方を紹介します。
ソフトはPhotoshop CCを使っています。
Lightroomというソフトでもほとんど同じようなことができますが、ここではより一般的なPhotoshopでのやり方を紹介します。(バージョンによって少し違う所があるかもしれません)
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[2020年10月7日追記]
以下の記事の内容の中の縦の線、横の線を揃える機能は現在、Photoshopでは出来なくなっており、Lightroomでしか出来なくなっています。
Adobeの戦略的に、Lightroomの重要性を上げたいのかもしれません。
試される方はLightroomでやってみてください。
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[2020年11月4日追記]
新しく出たPhotoshop2021では再び縦・横の線を揃える機能が復活しました。
※惜しいのが、「切り抜きを制限する」という地味に便利な機能がLightroomだけでしか使えないことですね。
(「切り抜きを制限する」については試してみた方が早いと思うので詳細は書きません)
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なお、少し脱線ですが、Photoshopを持っていなくて、今まで写真の画像補正は何もしていなかったという会社さんは、月額980円の投資(Photoshop+Lightroomが使える「フォトプラン」の場合)で済みますので、是非この機会にPhotoshopとLightroomを導入されてみてはと思います。かなり古いバージョンのものを使われている場合も新しいバージョンのものにするとその技術的進歩に驚かれると思います。
写真を今までよりいいものにするためにきちんと使えば、投資以上の価値はきっとあります。
それでは本題に戻ります!
まずは、この写真です。
パッとこの写真を見た時、どういう印象を持たれたでしょうか?
個人的には、少し暗いかなという気がします。それと、縦に伸びる線が何本もありますがその線にまとまりが無いように思います。それぞれの線を平行にして、垂直に揃えるともっと綺麗になりそうです。
それでは、それぞれ手を入れていきます。
まずは気になる縦の線から整えていきます。
Photoshopで写真を開き、フィルター>Camera Raw フィルター を選択。
「Camera Raw フィルター」が開いたら、下の箇所をクリックします。
下の箇所をクリックします。
出てきたウインドウで「はい」をクリック。
画面のように「A」をクリック。
クリック後、縦の線がきれいに揃ったことが分かると思います。
変化が分かるように試しに下の箇所をクリックして元の状態に戻してみました。
縦・横の線を整える場合、ほとんどの場合、「A」ボタンを押すことが多いです。
その右の横線が入ったボタンは横線のみを水平ラインに揃えたい場合、その右の縦線の入ったボタンは縦線のみを垂直ラインに揃えたい場合、一番右端のボタンは縦横ともに揃えたい場合です。
「A」ボタンは縦横のラインを揃えた上で、全体的なバランスまでとってくれるので一番使うことが多いです。
慣れないうちはとりあえず全部のボタンを押してみて、一番きれいに見えるものを選ぶということで良いと思います。
これで気になっていた縦の線が綺麗に揃い美しくなりました。下が現状の画像です。
それでは次に、色調や明るさ、光と影のバランスを調節していきます。
(※私の好みでやっていますので、皆さんも他のパラメーターもいじってみたりして、ぜひ自分なりの調節法を編み出してみてください)
まず、先ほどと同じように、 フィルター>Camera Raw フィルター を選択。
「Camera Raw」の画面を開きます。
今回のような写真では、まず「シャドウ」をいい感じになるまで上げてみることが多いです、「シャドウ」を+90まで上げて、影の色を薄く明るくしました。
次に、「露光量」を+0.4まで上げて、全体の露出を持ち上げます。
次に「ハイライト」を調節します。私は写真補正の時は今回のように写真を全体的に少し明る目にすることが多いのですが(私の好みなので参考まで)、そうすると写真全体の光量が増えることになるので、まぶし過ぎる光を落として目に優しくするイメージで使っています。
ここまで仕上げて外の植物を見た時に、もう少しシャキッとしてもいいかなと思ったので「明瞭度」を少し上げました。「明瞭度」は「コントラスト」とは別の意味で写真の解像感を上げてくれます。(この辺りも各人の好みなので参考程度に)
「色温度」「色かぶり補正」は今回は使いませんでしたが、ふだん色味を調整する必要があることは多いです。
こちらについてはまた次回以降にご紹介したいと思います。
建物の線の水平・垂直のラインを画像補正で揃えることには色々とご意見があるかもしれません。
評価を受けている建築写真でも水平・垂直の線が傾いているものもありますから、一概に傾きを直すのがいいとは言えないのですが、私の意見としては、建物が傾いているように見える写真よりは、水平・垂直の線がきれいに揃っている写真の方が「いい家をつくっているな」という印象を持ってもらいやすいと思います。
また、そうした部分がきちんと配慮されている写真がホームページやパンフレットなどに溜まってくると、それなりのクオリティ感を演出できると思います。
建物の中などで人が何かをしている写真などは、表現したいものがその躍動感だったりする場合もあると思うので、敢えて傾きを直さない方がいい時もあると思います。
しかしほとんどの場合は、水平・垂直の線をきれいに揃えてあげると、すごく構図を練り込んだ写真のように見える効果があると思います。
それでは最後に、先ほどの写真をトリミングまでしたものを上げておきます。
元の写真と見比べると、だいぶ変化していることが分かると思います。