今日、銀行の待合で何となく手に取った本(「かごしま家づくりの本」2015年夏号)をペラペラとめくっていたら、思いがけずシンケン時代に僕が担当した広告(下の画像です)が出てきて、「おーっ、懐かしい〜」と見入ってしまいました。
この広告は、初出はリクルートの住宅情報誌(けっこう広告費が高かったので制作に気合いが入ってました)だったと思いますが、「いつもの広告とは違う感じ」を意識して挑戦的な気持ちで制作したことを憶えています。
というか、その当時周囲にいたスタッフの熱気が凄くて、それに乗せられてこんな広告になった、と言った方がいいかもしれません。
今日改めて見ると、色々と感慨深いものがありました。
最近、ある工務店さんのホームページを隅から隅まで見る機会があったのですが、そのホームページには、自然素材やパッシブソーラーシステムへのこだわりや、その優れた点、家のスペックの解説、そのような家づくりに至った経緯や会社の考え方などが非常にていねいに表現されていました。
「よく出来ているなあ」と思ったのですが、その反面、「入居後のお客様の暮らしは全然描かれていないな」ということも感じました。
今考えると、シンケンに居た時は、周りの人たちの助けが本当に大きくて、入居後の「暮らし」をかなり深いところまで表現できていた気がします。
当時、ホームページには「家づくりの玉手箱」という、シンケンの家に住む社員が家づくりの過程から入居後の暮らしまでを詳細に語るコラムがありました。
その一部は書籍になっています。
また、2011年の福岡進出から2年ほどは、福岡で完成した全ての家の完成写真と入居後の暮らしの写真を、その家の詳細なコンセプトとともに掲載するということも、そのコンセプトメイク〜撮影〜コピーライティング〜WEB構築までを全て社内スタッフで行っていました。
営業マンとコーディネーターが、一棟一棟、そのお施主様のライフスタイルを掘り下げ、かなり秀逸なコンセプトを作ってくれていたこともあり、見ているだけでワクワクしてくるような内容で、なおかつ、それを全ての完成物件で制作するという、まさに”前代未聞”と言っていいホームページコンテンツだったと思います。
その無謀とも言える「全完成物件紹介」は、福岡事務所の組織替えなどの事情で30棟を超えたくらいで終了してしまいましたが、一時的にでもそんな制作体制が構築できたこと自体が凄いし、そんな場に居ることが出来て幸運だったと思います。
(現在は残念ながら「家づくりの玉手箱」も福岡の完成物件の紹介ページもホームページのリニューアルにより削除されています)
ちょうどその頃、あるハウスメーカーのパンフレットを見る機会があったのですが、その中の「暮らし」の写真のあまりの嘘臭さに衝撃を受けたことがありました。(ピカピカの家にピカピカの家具が並んでいて、その中でモデルさん達が家族を演じているという現実感ゼロの写真)
その写真を見た時に強く感じたことですが、工務店はいい「暮らし」の写真を撮影することを目標にすると、色んな面でいいことがあると思います。
具体的に書くと・・・・
◉家づくりの計画中〜建築中にかけて、お施主様が入居後の暮らしをどういう風に楽しみ、発展させていけばいいかを教えてあげる能力がついてくる(これをきちんとしていない家は入居後もお客様が「どう暮らしていいか分からない」ままなので、被写体としてはいつまで経っても面白くなりません。”あるある”な例だと「ウッドデッキをつくったけど全く使っていない家」など)
◉「暮らし」を楽しみ、自ら発展させていっているお客様の家は、訪れるだけで楽しい気分になります。そんな家に家づくり予備軍のお客様を連れて行くと、その後の進行が大変スムーズです。
◉「暮らし」を楽しんでいる家の写真は、広報的に、ハウスメーカーには真似できない強力な武器になります。
◉これが本質的には一番大きなことかもしれませんが、「お客様が暮らしを楽しめる家」=「いい家」が出来ます。
またまた少し長文になってしまいましたが、最後に、先ほどの広告の中のコピーを書いておきたいと思います。
今見ると写真と文章だけで全てを伝えきれず若干空回りしてるところもある気がしますが、この家づくりに関わった「つくり手」たちの、「入居後のお客様の暮らしを少しでも良いものにしたい!」という熱い気持ちと、それ以上の熱気で「暮らし」を楽しんでいるお客様の様子が、何となく伝わってきませんか?
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Innovate Your Life.
住まいづくりは、終わらない。
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「暮らしは、自分たちでつくる」
そんな”あたり前”のことに、
あらためて気づきました。
入居して7ヶ月経ちました。
引っ越してから暮らしをつくる。その過程が楽しい。
わが家の住まいづくりは
まだまだ立ち止まることなく続いています。
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※今回、福岡進出の頃の話を少し書きましたが、そのうちもっと詳しく書きたいと思います!